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おしどり探偵 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫) 文庫 – 2004/4/16
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- 本の長さ444ページ
- 言語日本語
- 出版社早川書房
- 発売日2004/4/16
- ISBN-10415130052X
- ISBN-13978-4151300523
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登録情報
- 出版社 : 早川書房 (2004/4/16)
- 発売日 : 2004/4/16
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- 文庫 : 444ページ
- ISBN-10 : 415130052X
- ISBN-13 : 978-4151300523
- Amazon 売れ筋ランキング: - 48,240位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
![アガサ・クリスティー](https://m.media-amazon.com/images/S/amzn-author-media-prod/bhq0jn659fgkk7bc3cae4tlkmd._SY600_.jpg)
1890年、保養地として有名なイギリスのデヴォン州トーキーに生まれる。中産階級の家庭に育つが、のちに一家の経済状況は悪化してしまい、やがてお金のかからない読書に熱中するようになる。特にコナン・ドイルのシャーロック・ホームズものを読んでミステリに夢中になる。
1914年に24歳でイギリス航空隊のアーチボルド・クリスティーと結婚し、1920年には長篇『スタイルズ荘の怪事件』で作家デビュー。1926年には謎の失踪を遂げる。様々な憶測が飛び交うが、10日後に発見された。1928年にアーチボルドと離婚し、1930年に考古学者のマックス・マローワンに出会い、嵐のようなロマンスののち結婚した。
1976年に亡くなるまで、長篇、短篇、戯曲など、その作品群は100以上にのぼる。現在も全世界の読者に愛読されており、その功績をたたえて大英帝国勲章が授与されている。
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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さすがに現代語訳の文章になっており読みやすい。
本格的なサスペンス推理小説とは趣が異なり歴代の探偵をコメディー化しており、休日にのんびり寝転んで読むのに相応しく、読書後は幸せな気分になれる作品です。
普段ライトノベルしか読まない若い読者にも、推理小説の「古典」への入門書として読んで欲しいと思います。
短編集ということで本作だけでも楽しめますが、この『トミーとタペンス』のシリーズは内容が僅かに連続しており、出来ることならば第1作目の『秘密機関(一ノ瀬訳では『秘密組織』)』から順番に読み始めれば、シリーズ全5作を余すことなく楽しめると思います。
ミステリの女王がオアソビで書き下ろした感じだが、現代に通じるライトミステリ感覚は素晴らしい。惜しむらくは2人が模した名探偵達のほとんどを知らなかった事で、私にわかったのはホームズ、フレンチ、ポアロくらいだった。それだから満点評価しないわけではないが、知らなくても十分面白いので知ってたらなあ、と思っただけの事である。
二人の軽妙なやり取りと架空の名探偵気取りで物語は進展してゆき、二人が時には相手を騙したり、協力しながら事件を解決していく。
14の事件からなる短編集だが、際立った出来ばえの作品はなく、何の変哲もないオチだったり、ノックスの十戒に反していたりと、拍子抜けする作品が多い。敢えて挙げると、「怪しい来訪者事件」、「婦人失踪事件」、「大使の靴」が面白い。
ハードボイルド的な場面も多く、とぼけたイメージのトミーが窮地に追い込まれても泰然自若としているのが印象的。
「お茶でも一杯」
失踪した女性を探してほしいという依頼に対して、24時間以内に解決すると大見得を切るタペンス。
「桃色の真珠事件」
真珠の意外な隠し場所。ある事柄に不信感を持ち、犯人に気づいたトミー。読者が推理するのは難しい。
「怪しい来訪者事件」
冒頭のシガレットケースに関するエピソードがうまく活かされている。トミーの機知、タペンスの気づきによって、窮地を逃れる。
「キングに気をつけること」
冒頭の新聞紙に関するエピソードがうまく活かされている。同じ○○を作るよりも、そのまま入れ替えた方が簡単では?
「婦人失踪事件」
探検家から夫人が行方不明になったので、探してほしいとの依頼を受ける二人。失踪の意外な理由が面白い。
「眼隠し遊び」
盲人探偵を気取り、危機一髪の状況に。ちょっとした細工のおかげで命拾いする。暗号は意味不明。
「霧の中の男」
『証拠とは、感覚によって頭に伝えられた印象にすぎない』
トミーは3つの勘違いに気づき、犯人を突きとめる。
「ぱしぱし屋」
警視庁のマリオット警部の要請を受けて、にせ札製造の潜伏調査をすることに。ギャングとの駆け引きの話だが、何の変哲もないオチ。
「サニングデールの謎の事件」
事件を取り巻く状況はなかなか魅力的だが、真相は予測の範囲内。真相通りに推理できない理由は、警察がエヴァンズに被害者の写真を見せていないなんて、ありえないことだと思うからだ。
「死のひそむ家」
タペンスの昔の経験が活きる。推理には、専門的知識が必要。
「鉄壁のアリバイ」
同時に2つの違った場所に居たという女性の謎。そのアリバイを崩す話だが、ひょっとしたら、アレかなと思っていたら、その通りだった。
「牧師の娘」
幽霊騒ぎの調査依頼から、文字謎遊びの問題を解いて、事件解決。日本人読者には推理不可能。
「大使の靴」
税関で間違えて持っていかれて、すぐに戻ってきたカバンの謎。すり替えの理由は予想通りだった。
「16号だった男」
本作品の締め括りの話で、カーター主任から探偵業依頼の際に話のあった、16号の男との対決。
ホテルに入ったタペンスと16号の男が消えてしまうが、意外な二人の居場所をトミーは突きとめる。
ふたりが登場する短編は他にないため、そのすべてを読むことができます。ただし、事前に長編『秘密組織』を読んでおかれることを強くお勧めします。というのも、本書の登場人物、人間関係、背景設定などは『秘密組織』を受け継いでおり、さらに時間的な経過も合わせてあるためです(詳しくは後述の「トミーとタペンス登場作品全リスト」をご参照ください)。
また、トミーとタペンス物に触れる際には、そもそもがコミカルな物語であって、本格派の謎解きやリアルな設定を求めすぎても意味がない、という前提を了解しておくことが肝心です。その点も含め、まずは『秘密組織』を読んでみて、それで気に入ったのなら大丈夫、迷わず本書を手に取ってください。ふたりが繰り広げるやりとりはいっそうリズム感を増し、扱う事件も殺人、盗難などの一般的な犯罪から、犯罪組織の摘発、さらにはふたりのホームグラウンドである国家的な諜報戦までと多彩になって、楽しさも倍増しています。口先で何と言おうと、心の奥では厚い信頼と熱い愛情で結びついたふたりは、まさにクリスティが生んだベストカップル。その魅力に惹かれるまま、15話をあっという間に読み終え、すぐにも読み直したくなること請け合いでしょう。
以下、収録作のレビューを目次順で付します。なお、プロローグ部分にあたる冒頭2話を除いた各話は、捜査の素人であるトミーとタペンスが、せめてもの教本として、発表当時に著名だった名探偵たちの手法をまねたという形式のパロディになっています。しかし、元の探偵について知らなくてもいっこうに差し支えはありません。もちろん元ネタを知っていれば、その分面白さは広がりますが、現在では名前が残っていなかったり、そもそも邦訳がほとんど出ていない探偵もいます。さらに言えば名前だけ借りている程度に留めている作品も少なくないので、あまり気にせず、フレーバー程度に受け取っておけばいいでしょう。
アパートの妖精
本書全体のイントロダクションとなる一編。ふたりの現状を巡るトミーとタペンスの会話がとにかく楽しく、一気に彼らの世界に引きずり込まれます。
お茶をどうぞ
とある筋からの依頼で、変名を用いて探偵事務所をすることになったふたり。そこへ持ち込まれてきた最初の事件を描きます。失踪した女性を探してほしいという依頼ですが、そこにはとんでもない裏が隠されていて……
桃色真珠紛失事件
名家で起こった宝石盗難事件を扱います。ホームズのライヴァルたちの中でも著名なソーンダイク博士の名が出てきますが、パロディ度は低め。それよりも全然自信がないのに名探偵を気取らなければならずに四苦八苦するトミーと、根拠不明確な自信でぱんぱんのタペンスの対比が光っています。
怪しい来訪者
ふたりが探偵事務所を開くことになった直接の理由が絡んだスパイ・スリラー物。なかなか物騒な敵を相手に、トミーとタペンスは機知とコンビネーションで対抗します。普段は慎重派で、いささか頼りなさげにすら見えるくせに、修羅場になると一転肝が座って好男子ぶりがアップするトミーの魅力を十二分に味えます。
キングを出し抜く
奇妙な文言の新聞広告を目に留めたタペンスが、渋るトミーを引きずって自ら事件へ飛び込んでいく話です。キングで云々というのはコントラクト・ブリッジでの駆け引きにかけてあります。エースという絶対的に強いカードではなく、2番目に強いキングで勝負するにはどうするか、といった意味合いです。
婦人失踪事件
これは非常に優れた、ホームズ物のパロディです。型が決まっていて真似しやすいホームズとはいえ、ここまで上手く書けるのはさすがクリスティ。トミーとタペンスのやりとりも振るっていて、楽しさという点では本書中でも一、二を争います。エラリー・クイーンが編んだ『シャーロック・ホームズの災難』にも採られています。
目隠しごっこ
「怪しい来訪者」の続きとなるスパイ組織との対決、第2回戦です。トミーとタペンスが盲目探偵の真似事をする序盤、胡散臭い依頼が寄せられる中盤、持ち前の機知で敵と相対する終盤と、見せ場盛りだくさんのエンターテインメント作品。敵のいかにも時代がかった大仰な仕掛けが楽しいです。
霧の中の男
トミーが有名どころの中でも有名な探偵、ブラウン神父に扮する話ですが、クリスティとチェスタトンは用いる文体があまりにも違うのでパロディともパスティーシュとも言いがたいところがあります。が、作中に漂う、異様な雰囲気は魅力的。怪奇幻想物も書いていたクリスティならではの筆致が光ります。
パリパリ屋
偽札を作っている犯罪者集団に対して潜入捜査を行う物語。多作を誇り、映画「キング・コング」の脚本でも知られるエドガー・ウォレスの雰囲気になぞらえ、軽快で洒落っ気のあるストーリーが展開します。今回はややタペンスの出番が少なめですが、その理由も、ラストのトミーの台詞で明らかになります。
サニングデールの謎
ゴルフ場で起きた殺人事件を、新聞記事を手がかりに解き明かしていく本書中屈指の本格ミステリ。モデルにされているのは、安楽椅子探偵の嚆矢として著名な隅の老人で、本家が実はあちこち出歩いていろいろ調べているのに対して、こちらは正真正銘の安楽椅子探偵ぶりを発揮、見事なパスティーシュを楽しませてくれます。
死のひそむ家
田舎の屋敷を舞台にした毒殺事件を扱います。A・E・W・メイスンが創出した、ポアロの原型ともいわれるフランス人探偵アノーの名前が出てきますが、これは冒頭でトミーがちょっと真似る程度。何人も犠牲者が出てしまう悲惨な事件のせいか、あまりおふざけはなく、ふたりの掛け合いもややシリアス志向になっています。
鉄壁のアリバイ
来ました、来ました、全クリスティの短編中でも最大級の問題作が! この話はシリーズが完結した後、とある雑誌のクリスマス特別号に掲載されました。人を許す時季であることを踏まえた英国風のジョークなのか、遊び心満載の実にヤンチャな作品です。もちろん、わざとやっているので腹を立てたりするのは無粋というもの。
牧師の娘
今回の依頼主は、タイトル通り牧師の娘。裕福だった叔母の遺産を受け継いだものの、あてにしていたお金が見当たらないという話を聞き、トミーとタペンスが宝探しに挑みます。手がかりは叔母さんが書き記した謎めいた詩。前話同様、クリスマスシーズンに発表されていますが、こちらは正統派のハッピーなお話が待っています。
大使の靴
犯罪性の薄そうな出来事から大きな犯罪を暴き出すという、「赤毛連盟」タイプの作品。英国本格ミステリの書き手として高い評価を得ていたH・C・ベイリーが創造した探偵、レジー・フォーチュンの名が出てきますが、これもそこまでなぞってはいません。話の展開が上手く、クライマックスの仕掛けが効いています。
16号だった男
フィナーレを飾るのは、これで3度目となるスパイ組織との対決。名うての工作員を相手に、トミーはポアロの叡智を借りて挑みます。クリスティ自身による自作のパロディというのも貴重ですが、それ以上に忘れがたいのはなんといってもエンディング。ふたりの新たなスタートをもって、本書は素敵な幕引きを見せてくれます。
■本書の章構成について
1:雑誌での初出時
本書に収録されている15作は、1923年から1928年にかけて雑誌で発表されました。特に1924年9月24日から12月10日までの12週間、週刊誌The Sketch Magazineで一号も欠くことなく、集中的に連載されています。ただし、雑誌での作品数は14作で、タイトルが異なる場合も多く、発表順も現在の目次順とはだいぶ異なっていました。以下、初出順にその際のタイトルと本書のどのエピソードの原型になったかを記します。
発表順_タイトル__掲載誌___本書で該当する短編
01_The First Wish__The Grand Magazine 1923年12月号___牧師の娘
02_Publicity__The Sketch Magazine 1924年9月24日号___アパートの妖精、お茶をどうぞ
03_The Affair of the Pink Pearl__The Sketch Magazine 1924年10月1日号___桃色真珠紛失事件
04_Finessing the King__The Sketch Magazine 1924年10月8日号___キングを出し抜く
05_The Case of the Missing Lady__The Sketch Magazine 1924年10月15日号___婦人失踪事件
06_The Case of the Sinister Stranger__The Sketch Magazine 1924年10月22日号___怪しい来訪者
07_The Sunninghall Mystery__The Sketch Magazine 1924年10月29日号___サニングデールの謎
08_The House of Lurking Death__The Sketch Magazine 1924年11月5日号___死のひそむ家
09_The Matter of the Ambassador's Boots__The Sketch Magazine 1924年11月12日号___大使の靴
10_The Affair of the Forged Notes__The Sketch Magazine 1924年11月19日号___パリパリ屋
11_Blindman's Buff__The Sketch Magazine 1924年11月26日号___目隠しごっこ
12_The Man in the Mist__The Sketch Magazine 1924年12月3日号___霧の中の男
13_The Man who was Number Sixteen__The Sketch Magazine 1924年12月10日号___16号だった男
14_The Unbreakable Alibi__Holly Leaves 1928年12月発行___鉄壁のアリバイ
《雑誌情報》
The Grand Magazine……ホームズ譚で知られるThe Strand Magazineを立ち上げ、英国の南極探検支援でも知られる出版界の大立て者、ジョージ・ニューネスが作った雑誌。クリスティをはじめ、本書の元ネタを提供しているバロネス・オルツィやエドガー・ウォレスなども寄稿していました。
The Sketch Magazine……クリスティが短編デビューし、最初期のポアロ物を25作発表した、上流、貴族階層向けの週刊誌。トミーとタペンス物はポアロ物の連載終了を受けて始まり、その終了でクリスティのThe Sketch Magazineにおける活動も終わりとなりました。
Holly Leaves……週刊誌The Illustrated Sporting and Dramatic Newsのクリスマス特集号。翌1929年版では「六ペンスのうた」(『リスタデール卿の謎』収録)が掲載されています。
2:単行本発行時
本書が編まれる際、クリスティは全体的に手を加え、配列を現在の目次順にし、章を細かく分割して、全23章としました。
01_A Fairy in the Flat
02_A Pot of Tea
03_The Affair of the Pink Pearl -partI
04_The Affair of the Pink Pearl -partII
05_The Adventure of the Sinister Stranger -partI
06_The Adventure of the Sinister Stranger -partII
07_Finessing the King
08_The Gentleman Dressed in Newspaper
09_The Case of the Missing Lady
10_Blind Man's Bluff
11_The Man in the Mist -partI
12_The Man in the Mist -partII
13_The Crackler -partI
14_The Crackler -partII
15_The Sunningdale Mystery -partI
16_The Sunningdale Mystery -partII
17_The House of Lurking Death -partI
18_The House of Lurking Death -partII
19_The Unbreakable Alibi
20_The Clergyman's Daughter
21_The Red House
22_The Ambassador's Boots
23_The Man Who Was Number 16
3:早川版発行時
早川書房が本書の日本語版を出版するにあたり、最初のハヤカワ・ミステリ版では、原書そのまま23章の構成で翻訳されました。しかし、ハヤカワ・ミステリ文庫に収められる際にpartI、partIIに分かれていた話を1つに統合し、さらに同じ事件を扱っている“Finessing the King”と“The Gentleman Dressed in Newspaper”、及び“The Clergyman's Daughter”と“The Red House”も1話として再編、全15話としました。クリスティー文庫はこの章構成を引き継いだ上で、タイトル、本文を改訳しています。
■トミーとタペンス登場作品全リスト
長編4、短編集1の合計5冊。このシリーズの最大の特徴は、トミーとタペンスのふたりが発行された年に合わせて、実際に年を取っていくことでしょう。20歳前後の恋人同士から始まり、結婚し、子供が生まれ、孫がやってくるのを待つ年代まで、彼らの人生が綴られていきます。しかもデビュー作『秘密組織』はクリスティの第2作であり、最終作『運命の裏木戸』は最後に書いたミステリー。従って、トミーとタペンスの人生は、クリスティの作家としてのキャリアともほぼ重なっています。是非発売順に読んで、この二重の意味を持つ魅力を味わってください(なお、以下のリストでは、シリーズの発売順、邦題、本国での発行年月、発行時のクリスティの満年齢を記載しています)。
1_秘密機関__1922/01___31歳
2_おしどり探偵(本書。短編集)__1929/09___39歳
3_NかMか__1941/11___51歳
4_親指のうずき__1968/11___78歳
5_運命の裏木戸__1973/10___83歳
推理するポアロ。セント・メアリ・ミードの村の噂話に耳を傾けながら、
謎を解きほぐしていくミス・ジェーン・マープル。幻想世界からやって
来た謎の男、ハーリ・クィン。そのほか、パーカー・パイン、バトル警
視などいるけれど、私が一番好きなのはトミーとタペンスのコンビです。
本書は、トミーとタペンスがふたりの探偵事務所を持ち、活動していく
中で正体不明の人物を見つける任務を英国秘密情報局から依頼されると
ころから話が始まる連作短編集。平凡な毎日に退屈し、スリリングな冒
険を望んでいたふたりのこと。飛びつくように依頼を受けて、退屈な日
常よさらば、嬉々として探偵業に飛び込みます。溌剌、生き生きとした
ふたりの活躍、特にタペンスのお茶目で好奇心旺盛な言動を楽しみなが
ら、わくわく、わくわく読んでいきました。
トミーとタペンスのコンビ探偵のシリーズ。これから読んでいく方は、
若かったふたりが年を重ねて行くのを見守るように読み進めて行くと、
また違った感慨も湧いてくるでしょう。『秘密機関』『おしどり探偵』
『NかMか』『親指のうずき』『運命の裏木戸』と、ふたりの活躍年代
順に読んでいくと、シリーズものとして一層親しめますよっ。
特に、タペンスは、とても溌剌として、前向きで、困難に立ち向かう姿がすばらしい。
アガサクリスティがこうなりたかったという性格の女性を描いているようだ。
都市をとってからの2人もすごいが、若い時代もすごい。
もっとたくさん2人の物語があるとうれしかった。
本筋に関する事項が、他の作品における小説家、発掘などの経験のある事項とは違い、
情報局のような経験のないものだからなのだろうか。